2020.07.15
自筆証書遺言の法務局保管が始まりました
令和2年(2020年)7月10日から、自筆証書遺言の法務局保管が始まりました。
遺言書には、大きく分けて普通方式遺言と特別方式遺言があり、
このうち、普通方式遺言は、①自筆証書遺言、②公正証書遺言、③秘密証書遺言の3種が用意されています。
そして、このうちの①自筆証書遺言について、法改正によって、作成した自筆証書遺言を法務局で保管してもらえるようになりました。
自筆証書遺言は、公正証書遺言や秘密証書遺言と違って公証人などが必要ないので、いつでも作成費用を気にせず作れるというメリットがありますが、
遺言書を遺言者自身が保管しておくために、相続開始後、利害関係人が遺言書を改ざんしたり、廃棄したりするリスクや、そもそも発見されないかもしれないというデメリットがあります。
しかし、今回の法改正で、自筆証書遺言を法務局で保管してもらうことができるようになりました。
■法務局での保管手続の流れ■
①自筆証書遺言を作成する
(これは、従来どおり、財産目録以外の箇所を全て自書して作成します。)
↓
②保管の申請をする遺言書保管所を決める
(遺言者の住所地・遺言者の本籍地・遺言者が所有する不動産の所在地、
いずれかを管轄する遺言書保管所から決めます)
↓
③保管のための申請書を作成する
(法務省ホームページか、法務局窓口で申請書を取得します。)
↓
④保管の申請をする
(事前予約の上、遺言書保管所にて申請手続をします。)
↓
⑤保管証を受け取る
■被相続人の死後、遺言書が預けられているか確認する方法■
遺言書保管事実証明書の交付請求をしてください。
この請求は、全国どの遺言書保管所でも可能です。相続人・遺言執行者・受遺者等が請求できます。
■被相続人の死後、預けられている遺言書の閲覧をする方法■
法務省ホームページか法務局窓口に備え付けの閲覧請求書を用いて、閲覧請求してください。相続人・遺言執行者・受遺者等が請求できます。
遺言書原本の閲覧は、遺言書原本が保管されている遺言書保管所でのみ閲覧できますが、モニターによる閲覧であれば、全国どの遺言書保管所でも閲覧請求ができます。
■被相続人が生前に預けた遺言書の内容が記載された書面を入手する方法■
遺言書情報証明書の交付請求してください。この請求は、全国どの遺言書保管所でも可能です。相続人・遺言執行者・受遺者等が請求できます。
以上にみてきたように、自筆証書遺言を法務局に保管しておけば、利害関係人が遺言書を廃棄したり改ざんするリスクを心配する必要はなくなりますし、
全国どの遺言書保管所でも、遺言書が預けられているかどうか調べることができるので、相続人に発見されないという可能性が低くなります。
さらに、遺言書を法務局に保管しておけば、裁判所での検認手続が不要となります。
このように、自筆証書遺言を法務局に保管しておくと、これまで言われてきた自筆証書遺言のデメリットを一定程度緩和することが可能です。
弊所では、相続に関する多数のご相談・ご依頼実績があります。遺言書の作成に関するご相談も対応しておりますので、そもそもどの方式による遺言書が良いのか、遺言書の内容にどういったものを記載すれば良いのか、さらには遺言書には記載できない内容を死後事務委任等で決めておくことができるのか、等のご相談があれば、お電話(042-312-4708)かお問い合わせフォームから、お気軽にお問い合わせください。